破精(はぜ)

【English】
Growth state of koji-kin

における麹菌の繁殖形態を表現する言葉である。蒸米に種付けした麹菌の胞子が発芽繁殖して、菌糸が白く見えるようになった状態を破精といい、その広がり程度を破精廻り、米粒の中心部に菌糸が生育して行く程度を破精込みという。また、菌糸の増殖が不十分で蒸米のままのような状態で固くなっていくものを破精落ちという。

破精の程度と状態は製麹の管理指標、麹の品質の適否を意味する。麹の表面に破精は廻っているが、破精込みの浅い麹をぬり破精といい、表面に湿気が多く、内部が固い蒸米や粗白米に生じやすくて、酵素力は弱い。また、破精が廻っていて、破精込みの深いものを総破精といい、蒸米の硬軟が適度である場合に生じやすく、酵素力が強くて、酒母麹に向いている。

突き破精(とら破精、まだら破精)は蒸米表面に斑点状に破精が廻り、破精の廻っていない部分も残っているが、破精が蒸米の中心に向かって食い込んでいる麹である。一般に若い香気の良い麹で、酵素力は掛麹に適当である。

他に、麹菌の菌糸が蒸米の中心部まで破精込み、米粒が酵素で分解され、軟らかくなり、押さえると簡単に潰れるような状態をバカ破精といい、酵素力はかえって弱く、味が出すぎて酒にはよくない。

総破精と突き破精