酒造り唄

【English】
Sake-making song

かつて酒蔵で歌われた酒造りのための唄のことをいう。櫂入れ等の酒造作業において、作業時間を計る時計代わりの役目があり、責任者は作業中に何節を歌うかによって作業時間を決めた。酒造り唄は、時計代わりの役目だけでなく繰返し作業の単調さを和らげる効果も含んでいたと思われる。

今日では実際の作業において歌われることはないが、清酒に関わる祝事その他の行事には歌われる事が多い。

灘でよく唄われていた代表的な酒造り唄には次のようなものがある。

  1. 秋洗い唄(この唄に限り、作業者各自自由に歌う。秋に清酒造りを開始する最初の作業が使用する道具等の洗浄作業である。)
  2. 酛すり唄(山卸し唄 生酛育成工程で仕込み後、一定時間経過後に酛をすりつぶす為の櫂作業時に歌う)
  3. 酛掻き唄(2の作業の後、夜間に2~3時間毎に3回程度行う櫂入れ作業時に歌う)
  4. 謡物の唄(仕込み後直後の櫂入れ後しばらく後に行い、それぞれの工程に応じた特徴のある唄を歌いながら櫂入れを行う)(1)  風呂上がり前唄(初添え仕込みの当日午後6時頃の櫂入作業時)
    風呂上がり後唄(伊勢詣り唄、中添え仕込みの当日午後6時頃の櫂入作業時)
    (2) 仕舞唄(留添え仕込みの翌日午後4時頃の櫂入作業時)なお祝事などの宴が進むと伊勢音頭などもよく歌われている。