六甲おろし・重ね蔵

【English】
Rokkō wind; “overlapped” brewery

六甲山地から浜側に向けて吹く北風を六甲おろしという。神戸市から西宮市の市街の背後には六甲山地が東西にそびえ、風の流れを変化させる。西高東低の冬型の気圧配置となると西からの季節風は明石海峡で収束して山添いに強く吹き抜け、山頂に当たって、六甲おろしとなって加速度をつけて吹き降りてくる。

の酒造りは寒造り主体で発展したと言われている。六甲山系から吹き降ろす寒風は内海の影響を受けて寒造りに最適な気候をもたらした。

この六甲おろしを効率良く利用するために灘の酒蔵は『重ね蔵』という建築様式をとった。北側に仕込蔵貯蔵庫が、南側に前蔵が重なったように隣接して東西に長く建てられる。冬期には、北の仕込蔵は六甲おろしを直接受けて酒造に好適な低温となり、夏期には南からの日光の直射を前蔵が遮り貯蔵庫の低温保持がはかられる。