老ね香

【English】
“Old stink”

清酒の貯蔵中や瓶詰後の市販酒に出てくる漬物用の不快臭で、アミノ酸およびその関連代謝産物が分解したときに出てくる。ポリスルフィド(ジメチルトリスルフイド;DMTSなど)およびイソバレルアルデヒドが主体と考えられている。アミノ酸が多い酒や貯蔵温度が高かった場合に顕著に出てくる。

イソバレルアルデヒドは、生酒においてはイソアミルアルコールの酵素的酸化によって生じるが、貯蔵中はロイシンのストレッカー分解によって生じる。

3-デオキシグルコソン(3-DG)は清酒の貯蔵中に出てくる化合物で、熟度を表す指標として重視されている。適当な熟度は0.24~0.38mMの範囲であり、この上限値を超えると官能的に老香を感じるとされている。

また貯蔵中に生じる焦げ臭は、コハク酸のエステルまたはアミドと推定されている。

なお、長期貯蔵酒における蜂蜜様・醤油様の香りは、ソトロンやソトロン類似の化合物によるもので、老香と区別される。