きょうかい9号酵母

【English】
Association Yeast No.9 (Kyōkai No.9)

1953年頃に、野白によって熊本県酒造研究所のより分離されたのが熊本酵母で1968年からきょうかい9号酵母として日本醸造協会より頒布されて現在に至る。吟醸酒造りに適する。TTC染色は赤色で、巨大集落は中央に凹みがあり、深くて密な襞がある。

醸造上の特徴は低温でよく発酵する酵母であって、落(発酵によりできた醪の上の高い泡の粘りがなくなり落ち込みながら消えるような状態になった泡)以降も発酵力が強い。泡は軽くて、しかも低い。地(醪の上の泡がしぼんで無くなり、醪の液面が見えるようになった状態)になるのも早いので、前急短期型醪になりやすく、製成酒は酸度も少なくて香気も高い。カプロン酸エチル高生産株の登場までは、全国新酒鑑評会の出品酒に最も多く使われていた。現在においても吟醸酒の多くに使用されている。