野生酵母

【English】
Wild yeast

清酒醸造のために添加した酵母菌株あるいは健全な酒造の主役を務める酵母菌以外の酵母を野生酵母と呼んでいる。野生酵母は大半が仕込水、原料米麹などから由来すると考えられ、乳酸酸性中でもよく増殖する。酒母を純粋に育成するために野生酵母を淘汰することが必要であるが、生酛系酒母では初期に亜硝酸と乳酸の作用により野生酵母の増殖は抑制され次第に死滅するに至る。

高温糖化酒母では高温(55~58℃)に保つことにより死滅する。しかし速醸酒母ではこのような野生酵母の淘汰は行われない。野生酵母の中には培地中の微量栄養分を急速に取り込むもの、あるいは阻害物質(キラーファクター)を分泌するものが多く、そのため有用酵母が抑圧され、あるいは死滅して酒母やが不純になることがあるので、培養酵母を酒母仕込みの早い時期に多量に添加することによって野生酵母の増殖を抑えて汚染を防いでいる。